企画経緯
本作誕生の経緯は、大山良プロデューサー(アニプレックス)が、新作オリジナルアニメを構想中に、中武哲也プロデューサー(プロダクションI.G 6課)と会った際、プロダクションI.Gサイドでも既存の自社イメージを超えるようなオリジナルアニメを構想している事を知り、「それならば」と共同で企画を立ち上げた事に端を発する。
この時点で「近未来が舞台」「遺伝子を題材にした超能力物」「男の子二人を主軸に据えた大河ドラマ」にしたいという案が出された。企画立案時よりノイタミナ枠での放送を想定しており、更に「ノイタミナにロボット物の要素を」という新機軸を盛り込む事になった。
オリジナルの大作を作る際には企画に“エッジ”を立てる必要があるとの考えから、人気イラストレーターredjuiceがキャラクター原案に抜擢された。“現代性”や“新しさ”を備えた彼の絵ならば“この作品の世界観にフィットする”という事も大きな要因であった
設定
企画立案時、最初期の案が「友達を武器に使う」「友達をしもべとして使う」というもので、その“背徳感”がポイントとなっている。後にこのアイデアは物語のキーである「ヴォイド」へと発展するが、吉野弘幸(シリーズ構成)は「そこに辿り着くまでに半年はかかった」と述べている。
本作品の主人公である桜満集は「人を〈集〉めて統治していく者」として描き、葬儀社の首領である恙神涯は「自分と同じ立場の人がいない天〈涯〉孤独な存在」という対照的な存在として描かれている。
ストーリー
西暦2029年。突如発生した未知のウィルス、通称〈アポカリプスウィルス〉の蔓延によって引き起こされた大事件「ロスト・クリスマス」から10年後の日本が物語の舞台である。荒廃し、無政府状態となった日本はアメリカ軍を中心とする超国家組織GHQの統治下に置かれていた。
桜満集は世間やクラスメイトに対してどこか冷めた視線を向ける男子高校生。周囲との微妙な距離を保ちつつ平穏な日々を過ごしていた彼はある日、お気に入りの場所である廃校舎で憧れの歌手・楪いのりに出会う。傷を負った彼女はレジスタンス組織「葬儀社」のメンバーというもう一つの顔も持っていた。集はGHQ、GHQから最高機密「ヴォイドゲノム」を盗み出した楪いのり、葬儀社のリーダー恙神涯らと関わる中で「ヴォイドゲノム」に触れ〈王の能力〉を宿してしまう。
力を手に入れた集は、「葬儀社」に協力しGHQを退ける。しかし「葬儀社」への加入要請は断り、元の日常に戻る道を選ぶ。しかし彼のクラスにいのりが転入してきたことから、集は否応なしに「葬儀社」に加わる羽目になり、彼らの活動の中核となってゆく。
茎道率いるGHQが引き起こした〈第2次ロスト・クリスマス〉、そして自分と同じく〈王の能力〉を持つ謎の少年ユウとの接触により、集は封じていた記憶を思い出す。それは、姉の真名、そして親友・涯との幼き日々であり、ロスト・クリスマスの真実だった。そして涯は自分ごと真名を殺し、消えていった。
その後、第2次ロスト・クリスマスにより天王洲第一高校が学生たちの避難所となる中、GHQの情報工作により会長の亞里沙や綾瀬たち「葬儀社」メンバーは窮地に陥る。事態を収拾し皆をまとめるため、集は自らの〈王の能力〉の存在を明かし、その力で生徒達を守るために生徒会長に就任する。しかし物資不足から平等な避難生活を送ることが困難となり、その打開のために谷尋が提案した「ヴォイドランク制」の導入を悩む中、祭が命を落としてしまう。自責の念に駆られた集は「ヴォイドランク制」を導入し、低ランクヴォイド能力者達を酷使しする暴君と化す。脱出作戦「エクソダス」を発動するが、ヴォイドの真実を知った他の生徒たちのクーデターに遭い、さらに謎の復活を遂げた涯に右手を切り落とされ〈王の能力〉を失ってしまう。
その後いのりまで奪われてしまった集は放浪をつづける中、自らのこれまでの罪、アポカリプスによるあらゆる事を1人で背負うべく、ヴォイドゲノム3本の内の最後の一本を撃ち込み、王の能力とそれを宿した自らのヴォイド「右手」を取り出せるようになり、それによって仲間を襲っていた嘘界を葬り、仲間に再び協力を求め、いのり救出に向け動き出す。
登場人物
葬儀社
桜満 集(おうま しゅう)
恙神 涯(つつがみ がい)
声 - 中村悠一、渡辺明乃(幼少期)
本作のもう1人の主人公。レジスタンス組織「葬儀社」の首領。17歳[4]という若さで反勢力を率いるカリスマ性を持つ。ヴォイドに関して異常に詳しく、自身が手にするはずだったという〈王の能力〉を宿した集に目を付け、GHQとの戦いで彼の力を積極的に利用する。
作戦立案をはじめ銃撃、格闘などにも秀で、交渉や変装もこなす葬儀社の柱。ルーカサイト攻略戦では単身でエンドレイヴを行動不能にした。結果を重視し、その内容次第では相手を気遣ったり、容赦無い言葉を浴びせる冷酷さも垣間見せる。対象の人物が持つヴォイドを見極める眼を持ち、集の葬儀社参入後はその能力に基づいた作戦立案が主立っている。実はこの能力は涯自身がアポカリプスウィルスに感染していることに由来する。
ルーカサイトによる増援部隊の全滅から生還するが、精神的な打撃からか、仲間の犠牲や淘汰されかねない自身の弱さから来る葛藤を吐露する。いのりの機転でその場面に立ち会わされた集と和解し、ルーカサイト攻略戦では集が持っていた発信機を自ら起動させようと身を呈する。
実は、集のかつての親友。2029年の夏、茎道の研究施設から逃亡して海岸に流れ着いたところを当時の真名と集に発見され、名前を覚えていなかったことから、真名から「トリトン」という名を与えられ、数ヶ月間を共に過ごした。しかしその生活の中で真名の異常性に気付き、クリスマスイブに集を呼び出しそのことを伝えようとするも、真名の暴走、ロスト・クリスマスを引き起こしてしまう。そして「僕は強くなる」と言い残し、茫然自失となった集と別れた。
茎道の起こしたパンデミックにより、アポカリプスウィルスが悪化してしまうが、いのりの歌と春夏のおかげで悪化は収まった。その後、いのりのヴォイドを使うユウから集をかばい斬られるも、キャンサーの結晶により致命傷は免れる。単身で茎道のもとに乗り込んだ集を援護するため、綾瀬の〈シュタイナー〉と共に参戦し、自らの手で真名を殺そうとする。しかし多数の結晶に身体を貫かれて最期を悟り、自分を真名ごといのりのヴォイドで刺す事を集に指示、建物の崩壊と共に消滅した(12話)。
しかし、茎道らによって蘇生された後は態度を一変させ、集たちの前に現れた時(18話)は集の右腕を切り落とした。またクーデターに加担した天王洲一高校の3人のヴォイドを使い、ミサイル攻撃を防いで使い捨てにするという非道な行いを見せ、自分はかつての自分とは違うと言う。ダアトの首領となって全世界に宣戦布告し、いのりの確保を命令する。確保後、いのりを磔にする部屋で四分儀と面会、葬儀社と完全に決別している事を彼に言い渡す。そして、ユウ、研二、亜里沙を率い、国連軍や、いのりを救う為に乗り込んできた集ら葬儀社に対しても圧倒的な戦力で戦いを進める。一人たどり着いた集に対して、真名から取り出した剣のヴォイドによりとどめを刺そうとした時、いのりの残した結晶の花から取り出されたヴォイドによって倒された。最期は「淘汰の終着点」にて自らの真意を語り、真名と共に光となって集の右腕に消えた。
ヴォイドは「ライフル銃」で、人間を撃つとその人物のヴォイドを強制的に引きずり出す。集が過去の記憶を思い出し〈王の能力〉が変化した後は、意識を失わず自分のヴォイドを使って集を援護した。自らが〈王の能力〉を得た後は、右腕から放つ光線によって、離れたところの複数の人からも同時にヴォイドを取り出し、さらにはそれを別の性質に融合させられる能力を得た。
集は涯のようになりたいと言っていたが、本来涯の今の性格は昔の決断力のあった集の性格を真似たものであったことが消滅間際に語られる(12話)。
ユウのことを前から知っているなど、未だ集達が知らない情報を知ってる事が示唆されるが、ユウに関して詳細は一切語らなかった。
楪 いのり(ゆずりは いのり)
声 - 茅野愛衣 / 歌
本作のメインヒロイン。16歳。有名なウェブアーティスト「EGOIST」のボーカル。無表情でミステリアスな雰囲気を漂わせ、歌うことで感情を解放する。〈王の能力〉を宿した集が初めてヴォイドを引き出した相手。巨大な「剣」のヴォイドを持つ。銃の扱いに手馴れており、照準精度も抜群。
GHQの施設からヴォイドゲノムの入ったシリンダーを盗み出し、逃走中に逃げ込んだ廃墟で集と出会う。追跡してきたGHQに捕まるが、戦闘の混乱に乗じて護送車から脱走。付近をさまよっていた集に発見され、〈王の能力〉発現と同時にヴォイドを引き出された。翌日の六本木フォート戦で、集の活躍が天王洲第一高校の「シュガー」と名乗る生徒に目撃されたことを受け、集の護衛と「シュガー」の捜索および始末のため、涯の命令で集のクラスに転入。放課後には集の家に押し入り、成り行きで平時には居候することになる。
数々の思わせぶりな発言で集を困惑させ、それもすべて涯に言い含められたことであることを明かし、集を拒む。何もなかった自分に名前をくれたという涯には別格の感情を抱いているようだが、一方では涯の命令を無視し、集を助けに単独でGHQ施設に突入するなど、彼女の変化には周囲も戸惑っている。集を涯の独白に立ち会わせ、二人の距離を近づけた。集に対していつの間にか好意を抱いていたらしいが、本人はこの感情が何なのかわからない様子で、そのため集に「化け物」と言われたときは絶望的になっていた。だが、それでも集を想う気持ちは変わっていない様子。茎道が起こしたクーデターの際には、誰よりも集に来てほしいと願った。
ルーカサイト攻略戦で別人と思しき人格が表出し、自身の剣に研二の銃を取り込んだ剣状の長距離射撃用兵装を現出させ、ルーカサイトを撃墜する。
正体は茎道らが真名と交信し、その魂を入れるために創りだしたインターフェース。血液にはアポカリプスウィルスの進行を抑える効果があり、歌によってアポカリプスウィルスの影響で体に現れた結晶を消すことができる。
集が天王洲一高校の新会長になってからも彼と行動を共にし、涯と一緒にいた時の自分とは違い、自分の意志で集の下にいるとアルゴに告げた。制服の上に集と同じような黒いマント状の物を羽織っている。祭を失った集にとって、いのりは心の拠り所になっていったが、暴漢に襲われた時など時折真名らしき人格が現れ始め、自分自身に恐怖を感じていた。ヴォイドの真実を全生徒に伝えようとする亞里沙を見つけ、強引な形で彼女を阻止した。
亞里沙率いるクーデター直後、涯によって右腕を切り落とされた集を助け、廃墟の街を逃亡する。その後、ダアト率いる涯が自分を狙う事を知り、集を残して廃墟を去る。イヴたる真名のインターフェイスである事からアポカリプスの結晶を自在に操る事が出来、その能力が大剣のヴォイドの強力な力に関係しているようである。集を守るため涯率いるダアトのゴースト部隊に単身で挑んだ際には、そのような異形の力を解放し部隊をほぼ壊滅させたものの、涯の使用するユウの弓型ヴォイドにより捕縛されてしまう。
真名の乗っ取りに抵抗はするも、全ての記憶を潰され、体は真名に奪われる。しかし最後に唄を歌い流した涙が「結晶の花」となり、そこから集を諭し自分のヴォイドを与え、さらに歌による共鳴現象で真名の「淘汰と進化の裁き」に対抗し、涯と真名を破った。そうして肉体を取り戻すも、ほぼ全身が結晶化しており、視力すら失った状態で集の元に戻ってくる。「集の傍にいる」といい、全てのアポカリプスを一身に集めた集を救うため、そのアポカリプスを全て背負って逝く。その際、白い空間の中で集と最初にあったようにあやとりを取るように集にいい、取った集を笑顔で見ながら消えていった。
集に最初に出会った時に貰ったおにぎりが気に入った様子。集と共に過ごすうちに、彼が無くてはならない存在となる。
設定では『彼女は歌によって世界を表現する』となっている。
通称「金魚服」と呼ばれるオレンジ色のステージ衣装は、“蝶”や“天使”をイメージしてデザインしたという。最初期のデザインでは胸の部分にも左右を繋ぐ服のパーツがあったが、荒木哲郎(監督)の意向によりそれは無くなり、胸部が大胆に開いたデザインとなっている。
篠宮 綾瀬(しのみや あやせ)
声 - 花澤香菜本作のヒロインの1人。人型ロボット「エンドレイヴ」のパイロット。明朗快活な17歳[4]。巨乳。普段は車椅子に乗っており、「車椅子に乗る時の姿がエレガントじゃない」として人の手は借りない主義。ダリルの操る新型エンドレイヴ〈シュタイナー〉に自身の〈ジュモウ〉を破壊されてしまうが、フォートでの作戦で鹵獲したダリル機〈シュタイナー〉を与えられたことで大幅な速度上昇を得た。
自身の障碍を侮った発言をした集を投げ飛ばすなど非常に勝ち気で、葬儀社に入りたての集の訓練をコーチすることになる。当初は集を頼りない男と見ていたが、模擬戦で見事な活躍をした彼を少し認めるようになる。車椅子は自分の個性であり、集の〈王の能力〉もまた彼の個性であると捉えている。
ツグミと仲が良い。歩けない自分にエンドレイヴという「脚」を与えてくれた涯を尊敬していて、恋愛感情を抱いている様子が窺える。涯といのりがただならぬ関係性を持っている事は知っているが、彼がアポカリプスウィルスの感染者である事を知っているかは不明。
集がヴォイドの力で親友の弟を殺してしまった事を聞いてしまい、彼の事が心配になり直接会いに行く。だが、涯に見放され、腑抜けになった集を見て愛想が尽き、涙を流し集の下を去ってしまう。心では、集の事を相棒のように見ていた様子で、天王洲一高校学園祭を襲ってきた暴徒集団と戦った時は、集と意気の合ったコンビネーションを見せた。
第2次ロスト・クリスマスの後は、ツグミと共に天王洲一高校に生徒として身を隠していたが、涯を救えなかったばかりか、「脚」であるエンドレイヴを失ったことから自分の価値を見失い、自暴自棄になっていた。しかし学校を襲う暴徒を前に、集に引き出された自分のヴォイドを纏い事態を乗り切ったことで、完全ではないものの立ち直った。
エクソダスの後に涯と再会を果たしたが、昔と違ってヴォイドを平気で使い捨てにする涯の非道な姿を目の当たりにし動揺する。その後、アルゴとツグミと共に逃亡。葬儀社の生き残りのいるアジトに潜伏する。嘘界率いるエンドレイヴ部隊の襲撃を受けた際は、皆を守るために最後のヴォイドゲノムの投与を志願した。
再起した集が再びヴォイドの力を手にしたことから、彼女は涯率いるダアトと戦うため新型エンドレイヴ〈シュタイナーA9(アーノイン)〉を駆り集を援護することとなる。
ヴォイドは「ブーツ」。脚に装着することで、陸や空を自在に駆けることができる。
redjuiceによればショートカットや髪をおろしたデザインもあったが、ポニーテールのラフ画を描いて見せた途端にスタッフの満場一致で決定されたという。
使用機体はジュモウ→シュタイナー→シュタイナーA9。
鶫(ツグミ)
声 - 竹達彩奈14歳。作戦中の情報を統括する有能なオペレーターで、ハッキング能力も高い。コードネームは「ブラックスワン」。幼い頃は両親にかまってもらえず、独りで人形遊びばかりしていた。活発で生意気な性格から涯に対してもタメ口で話す。口癖は「アイ(了解)」と「ネイ(否定)」。大雲に「くもっち」、四分儀に「しぶっち」といった様にあだ名を付ける事が多い。
綾瀬と同じく、当初は集に対する評価がかなり低かったが、日が経つにつれて彼を名前で呼ぶほど信頼するようになる。
第2次ロスト・クリスマス事件解決後、綾瀬と共に天王洲一高校に生徒として身を隠し、綾瀬と同じく生徒会の一員として行動している。前日に生徒会長不信任決議を出した男子生徒からは、「姉さん」と呼ばれるようになる。文化祭では潜入していたダリルにそうとは知らず大量の荷物を押し付け、だらしない姿を見せた彼を「もやしっ子」と呼んでいた。その後も彼とは正体を知らぬまま交戦する事となるが最終決戦の際自分を「皆殺しのダリル」と呼んだ彼を「アンタはもやしっ子よ」と叱りつけている。
アルゴが牢屋から脱走した際には、それを知った綾瀬を止めるためにロープで捕縛。親衛隊に捕まる事も考え、中立な立場を維持する。集の事情を知る1人ではあるが、独裁を行う集の側には付けないという状況であった。
エクソダス時には平気で他人のヴォイドを取り出し使い捨てにする涯に恐怖し、アルゴの運転する車で逃亡。残存する葬儀社メンバーと合流し、一緒に来た谷尋達の面倒を見ている。
ヴォイドは「ハンドスキャナ」。スキャンした人物の精巧なダミー人形を作成し、それを遠隔操作することができる。仮にそのダミーが破壊されてもヴォイド自体に影響はない。
企画段階ではいのりを差し置き、最もラフ画が描かれたキャラクター。頭部に付いているネコ耳は無線+頭部センサーという設定だが、redjuiceによれば「通信機→ネコ耳」というひらめきで付けてみたとのこと。
四分儀(しぶんぎ)
声 - 子安武人27歳。「葬儀社」の参謀役。「さすがです」が口癖だが、それは皮肉や嫌味として用いることが多い。
5年前、戦場で自分を殺そうとした少年兵だった涯を見出したことから彼を見出し、以来、涯を王にするために傍で手腕を振るってきた。
第2次ロスト・クリスマスの後はアンチボディズに拘束され、嘘界と「チェスで勝利したら涯に逢わせる」という取引を交わす。嘘界がわざと勝負に負けた為に涯と面会するが、「醜悪な偶像」となった涯に失望する。そして彼から預かった玄周の日記を携えて集と合流し、アポカリプスウィルスの起源について伝える。
最終決戦の際、ツグミをハッキングで妨害し続けていた研二に「チェックメイト」を言い渡し彼を射殺した。
月島 アルゴ(つきしま アルゴ)
声 - 勝杏里17歳。竜泉高校の2年生。白兵戦に長ける少年でナイフと格闘のプロ。その実力はナイフでブーメラン型ヴォイドを弾き返すほどである。集の訓練ではいきなり刃物を手渡し、彼を卒倒させた。綾瀬との模擬戦で不利を悟った集にヴォイド「暗闇になるライト」を取り出されるが、黒い光で照らした相手を暗闇で包むという代物であったため、自身が根暗ではないかと気に病む一面を見せた。飲み物を飲む際に小指が立つ癖がある。
クーデターの後は、大雲と共にクホウイングループ会長のもとに逃れる。そして亞里沙救出の命を受け東京に侵入するが、豹変した集と再会し、彼のやり方に反発する。その際ヴォイドの真実を知る。ツグミと同じく、独裁者となった集には味方しないと態度を鮮明にし、不当な扱いを受けるが、葬儀社に居た頃の何かに必死に抗う集の姿を気に入っていたと告げるなど、集を元の集に戻そうと懸命であった。
ヴォイドを平気で使い捨てにする涯を目の当たりにした事で、葬儀社および綾瀬とツグミを連れて別行動をとり、生き残りのいた葬儀社のアジトに潜伏。
ユウが自分や葬儀社達の事を集の従者と呼んだ時には「従者じゃない。仲間だ!」と彼の前で宣言している。
大雲の死後は彼の形見となった重火器を使用し戦闘に参加している。
大雲(おおぐも)
声 - 高口公介寡黙な大男で、銃器や爆発物のプロ。アルゴと共に逃れたクホウイングループ側では同会長と共に待機し、護衛に回っていた。24区から逃亡してきた春夏を匿うが、嘘界の罠にはめられマシンガンで銃撃される。春夏と倉知を逃がす事に成功するものの、嘘界に刺殺される。
城戸 研二(きど けんじ)
声 - 岡本信彦葬儀社と集の協力によりGHQの第四隔離施設から救出された少年。スカイツリー爆破事件を起こした凶悪犯らしい。GHQトップシークレットデータをハッキングして捕まった経歴の持ち主であり、天才少年。
葬儀社全滅後は行方不明だったが、涯と共にダアトに所属していた。葬儀社や国連軍との戦いではユウや亜里沙と共に参戦する。電脳戦ではツグミの攻勢を防御、逆に圧倒しかけたが、正体を掴んでダアトの施設に乗り込んできた四分儀により射殺される。
ヴォイドは重力を操作する「重力銃」。ルーカサイト撃墜時にはいのりのヴォイドと合体し巨大な銃へと変貌した。涯とは旧知の仲であるらしく、葬儀社の作戦行動にもすぐに馴染む。現在の涯を「ぬるい」と評する。
キョウ
声 - 藤東知夏葬儀社メンバーの中でも非常に幼い。涯に声を褒められたことを誇りに思い、また涯を尊敬している。
増援部隊や支援の受け取りポイントにいたために、ルーカサイトの砲撃により瀕死の重傷を負う。涯に感謝の言葉を告げた後、涯によって安楽死(射殺)された。
倉知(くらち)
声 - 川庄美雪葬儀社のメンバー。春夏とは顔見知りで、行動を共にする。
ふゅーねる
冒頭、いのりが連れていた「オートインセクト」と呼ばれるロボット。感情表現が豊か。集の家のロックを解く、洗濯物をたたむなど、なかなか多芸。同時にそのアームはスタンガンも備えている。捕縛用ワイヤーを持つほか、電脳戦にも対応する。
最終決戦では追加装備を施し集用のセグウェイ型車両として使用された。エピローグでは妻や子供を模したと思しきピンクのカラーリング同型機や複数の小型機が登場した。
いのりが無口なキャラクターであり、かわいいマスコットを出したいという制作スタッフの話し合いから設定された。デザインはredjuiceが担当しており、『攻殻機動隊』に登場する「タチコマ」の存在は意識したとのこと。名前は英語表記で "funeral"、「葬儀」の意味である。
声 - 中村悠一、渡辺明乃(幼少期)
本作のもう1人の主人公。レジスタンス組織「葬儀社」の首領。17歳[4]という若さで反勢力を率いるカリスマ性を持つ。ヴォイドに関して異常に詳しく、自身が手にするはずだったという〈王の能力〉を宿した集に目を付け、GHQとの戦いで彼の力を積極的に利用する。
作戦立案をはじめ銃撃、格闘などにも秀で、交渉や変装もこなす葬儀社の柱。ルーカサイト攻略戦では単身でエンドレイヴを行動不能にした。結果を重視し、その内容次第では相手を気遣ったり、容赦無い言葉を浴びせる冷酷さも垣間見せる。対象の人物が持つヴォイドを見極める眼を持ち、集の葬儀社参入後はその能力に基づいた作戦立案が主立っている。実はこの能力は涯自身がアポカリプスウィルスに感染していることに由来する。
ルーカサイトによる増援部隊の全滅から生還するが、精神的な打撃からか、仲間の犠牲や淘汰されかねない自身の弱さから来る葛藤を吐露する。いのりの機転でその場面に立ち会わされた集と和解し、ルーカサイト攻略戦では集が持っていた発信機を自ら起動させようと身を呈する。
実は、集のかつての親友。2029年の夏、茎道の研究施設から逃亡して海岸に流れ着いたところを当時の真名と集に発見され、名前を覚えていなかったことから、真名から「トリトン」という名を与えられ、数ヶ月間を共に過ごした。しかしその生活の中で真名の異常性に気付き、クリスマスイブに集を呼び出しそのことを伝えようとするも、真名の暴走、ロスト・クリスマスを引き起こしてしまう。そして「僕は強くなる」と言い残し、茫然自失となった集と別れた。
茎道の起こしたパンデミックにより、アポカリプスウィルスが悪化してしまうが、いのりの歌と春夏のおかげで悪化は収まった。その後、いのりのヴォイドを使うユウから集をかばい斬られるも、キャンサーの結晶により致命傷は免れる。単身で茎道のもとに乗り込んだ集を援護するため、綾瀬の〈シュタイナー〉と共に参戦し、自らの手で真名を殺そうとする。しかし多数の結晶に身体を貫かれて最期を悟り、自分を真名ごといのりのヴォイドで刺す事を集に指示、建物の崩壊と共に消滅した(12話)。
しかし、茎道らによって蘇生された後は態度を一変させ、集たちの前に現れた時(18話)は集の右腕を切り落とした。またクーデターに加担した天王洲一高校の3人のヴォイドを使い、ミサイル攻撃を防いで使い捨てにするという非道な行いを見せ、自分はかつての自分とは違うと言う。ダアトの首領となって全世界に宣戦布告し、いのりの確保を命令する。確保後、いのりを磔にする部屋で四分儀と面会、葬儀社と完全に決別している事を彼に言い渡す。そして、ユウ、研二、亜里沙を率い、国連軍や、いのりを救う為に乗り込んできた集ら葬儀社に対しても圧倒的な戦力で戦いを進める。一人たどり着いた集に対して、真名から取り出した剣のヴォイドによりとどめを刺そうとした時、いのりの残した結晶の花から取り出されたヴォイドによって倒された。最期は「淘汰の終着点」にて自らの真意を語り、真名と共に光となって集の右腕に消えた。
ヴォイドは「ライフル銃」で、人間を撃つとその人物のヴォイドを強制的に引きずり出す。集が過去の記憶を思い出し〈王の能力〉が変化した後は、意識を失わず自分のヴォイドを使って集を援護した。自らが〈王の能力〉を得た後は、右腕から放つ光線によって、離れたところの複数の人からも同時にヴォイドを取り出し、さらにはそれを別の性質に融合させられる能力を得た。
集は涯のようになりたいと言っていたが、本来涯の今の性格は昔の決断力のあった集の性格を真似たものであったことが消滅間際に語られる(12話)。
ユウのことを前から知っているなど、未だ集達が知らない情報を知ってる事が示唆されるが、ユウに関して詳細は一切語らなかった。
楪 いのり(ゆずりは いのり)
声 - 茅野愛衣 / 歌
本作のメインヒロイン。16歳。有名なウェブアーティスト「EGOIST」のボーカル。無表情でミステリアスな雰囲気を漂わせ、歌うことで感情を解放する。〈王の能力〉を宿した集が初めてヴォイドを引き出した相手。巨大な「剣」のヴォイドを持つ。銃の扱いに手馴れており、照準精度も抜群。
GHQの施設からヴォイドゲノムの入ったシリンダーを盗み出し、逃走中に逃げ込んだ廃墟で集と出会う。追跡してきたGHQに捕まるが、戦闘の混乱に乗じて護送車から脱走。付近をさまよっていた集に発見され、〈王の能力〉発現と同時にヴォイドを引き出された。翌日の六本木フォート戦で、集の活躍が天王洲第一高校の「シュガー」と名乗る生徒に目撃されたことを受け、集の護衛と「シュガー」の捜索および始末のため、涯の命令で集のクラスに転入。放課後には集の家に押し入り、成り行きで平時には居候することになる。
数々の思わせぶりな発言で集を困惑させ、それもすべて涯に言い含められたことであることを明かし、集を拒む。何もなかった自分に名前をくれたという涯には別格の感情を抱いているようだが、一方では涯の命令を無視し、集を助けに単独でGHQ施設に突入するなど、彼女の変化には周囲も戸惑っている。集を涯の独白に立ち会わせ、二人の距離を近づけた。集に対していつの間にか好意を抱いていたらしいが、本人はこの感情が何なのかわからない様子で、そのため集に「化け物」と言われたときは絶望的になっていた。だが、それでも集を想う気持ちは変わっていない様子。茎道が起こしたクーデターの際には、誰よりも集に来てほしいと願った。
ルーカサイト攻略戦で別人と思しき人格が表出し、自身の剣に研二の銃を取り込んだ剣状の長距離射撃用兵装を現出させ、ルーカサイトを撃墜する。
正体は茎道らが真名と交信し、その魂を入れるために創りだしたインターフェース。血液にはアポカリプスウィルスの進行を抑える効果があり、歌によってアポカリプスウィルスの影響で体に現れた結晶を消すことができる。
集が天王洲一高校の新会長になってからも彼と行動を共にし、涯と一緒にいた時の自分とは違い、自分の意志で集の下にいるとアルゴに告げた。制服の上に集と同じような黒いマント状の物を羽織っている。祭を失った集にとって、いのりは心の拠り所になっていったが、暴漢に襲われた時など時折真名らしき人格が現れ始め、自分自身に恐怖を感じていた。ヴォイドの真実を全生徒に伝えようとする亞里沙を見つけ、強引な形で彼女を阻止した。
亞里沙率いるクーデター直後、涯によって右腕を切り落とされた集を助け、廃墟の街を逃亡する。その後、ダアト率いる涯が自分を狙う事を知り、集を残して廃墟を去る。イヴたる真名のインターフェイスである事からアポカリプスの結晶を自在に操る事が出来、その能力が大剣のヴォイドの強力な力に関係しているようである。集を守るため涯率いるダアトのゴースト部隊に単身で挑んだ際には、そのような異形の力を解放し部隊をほぼ壊滅させたものの、涯の使用するユウの弓型ヴォイドにより捕縛されてしまう。
真名の乗っ取りに抵抗はするも、全ての記憶を潰され、体は真名に奪われる。しかし最後に唄を歌い流した涙が「結晶の花」となり、そこから集を諭し自分のヴォイドを与え、さらに歌による共鳴現象で真名の「淘汰と進化の裁き」に対抗し、涯と真名を破った。そうして肉体を取り戻すも、ほぼ全身が結晶化しており、視力すら失った状態で集の元に戻ってくる。「集の傍にいる」といい、全てのアポカリプスを一身に集めた集を救うため、そのアポカリプスを全て背負って逝く。その際、白い空間の中で集と最初にあったようにあやとりを取るように集にいい、取った集を笑顔で見ながら消えていった。
集に最初に出会った時に貰ったおにぎりが気に入った様子。集と共に過ごすうちに、彼が無くてはならない存在となる。
設定では『彼女は歌によって世界を表現する』となっている。
通称「金魚服」と呼ばれるオレンジ色のステージ衣装は、“蝶”や“天使”をイメージしてデザインしたという。最初期のデザインでは胸の部分にも左右を繋ぐ服のパーツがあったが、荒木哲郎(監督)の意向によりそれは無くなり、胸部が大胆に開いたデザインとなっている。
篠宮 綾瀬(しのみや あやせ)
声 - 花澤香菜本作のヒロインの1人。人型ロボット「エンドレイヴ」のパイロット。明朗快活な17歳[4]。巨乳。普段は車椅子に乗っており、「車椅子に乗る時の姿がエレガントじゃない」として人の手は借りない主義。ダリルの操る新型エンドレイヴ〈シュタイナー〉に自身の〈ジュモウ〉を破壊されてしまうが、フォートでの作戦で鹵獲したダリル機〈シュタイナー〉を与えられたことで大幅な速度上昇を得た。
自身の障碍を侮った発言をした集を投げ飛ばすなど非常に勝ち気で、葬儀社に入りたての集の訓練をコーチすることになる。当初は集を頼りない男と見ていたが、模擬戦で見事な活躍をした彼を少し認めるようになる。車椅子は自分の個性であり、集の〈王の能力〉もまた彼の個性であると捉えている。
ツグミと仲が良い。歩けない自分にエンドレイヴという「脚」を与えてくれた涯を尊敬していて、恋愛感情を抱いている様子が窺える。涯といのりがただならぬ関係性を持っている事は知っているが、彼がアポカリプスウィルスの感染者である事を知っているかは不明。
集がヴォイドの力で親友の弟を殺してしまった事を聞いてしまい、彼の事が心配になり直接会いに行く。だが、涯に見放され、腑抜けになった集を見て愛想が尽き、涙を流し集の下を去ってしまう。心では、集の事を相棒のように見ていた様子で、天王洲一高校学園祭を襲ってきた暴徒集団と戦った時は、集と意気の合ったコンビネーションを見せた。
第2次ロスト・クリスマスの後は、ツグミと共に天王洲一高校に生徒として身を隠していたが、涯を救えなかったばかりか、「脚」であるエンドレイヴを失ったことから自分の価値を見失い、自暴自棄になっていた。しかし学校を襲う暴徒を前に、集に引き出された自分のヴォイドを纏い事態を乗り切ったことで、完全ではないものの立ち直った。
エクソダスの後に涯と再会を果たしたが、昔と違ってヴォイドを平気で使い捨てにする涯の非道な姿を目の当たりにし動揺する。その後、アルゴとツグミと共に逃亡。葬儀社の生き残りのいるアジトに潜伏する。嘘界率いるエンドレイヴ部隊の襲撃を受けた際は、皆を守るために最後のヴォイドゲノムの投与を志願した。
再起した集が再びヴォイドの力を手にしたことから、彼女は涯率いるダアトと戦うため新型エンドレイヴ〈シュタイナーA9(アーノイン)〉を駆り集を援護することとなる。
ヴォイドは「ブーツ」。脚に装着することで、陸や空を自在に駆けることができる。
redjuiceによればショートカットや髪をおろしたデザインもあったが、ポニーテールのラフ画を描いて見せた途端にスタッフの満場一致で決定されたという。
使用機体はジュモウ→シュタイナー→シュタイナーA9。
鶫(ツグミ)
声 - 竹達彩奈14歳。作戦中の情報を統括する有能なオペレーターで、ハッキング能力も高い。コードネームは「ブラックスワン」。幼い頃は両親にかまってもらえず、独りで人形遊びばかりしていた。活発で生意気な性格から涯に対してもタメ口で話す。口癖は「アイ(了解)」と「ネイ(否定)」。大雲に「くもっち」、四分儀に「しぶっち」といった様にあだ名を付ける事が多い。
綾瀬と同じく、当初は集に対する評価がかなり低かったが、日が経つにつれて彼を名前で呼ぶほど信頼するようになる。
第2次ロスト・クリスマス事件解決後、綾瀬と共に天王洲一高校に生徒として身を隠し、綾瀬と同じく生徒会の一員として行動している。前日に生徒会長不信任決議を出した男子生徒からは、「姉さん」と呼ばれるようになる。文化祭では潜入していたダリルにそうとは知らず大量の荷物を押し付け、だらしない姿を見せた彼を「もやしっ子」と呼んでいた。その後も彼とは正体を知らぬまま交戦する事となるが最終決戦の際自分を「皆殺しのダリル」と呼んだ彼を「アンタはもやしっ子よ」と叱りつけている。
アルゴが牢屋から脱走した際には、それを知った綾瀬を止めるためにロープで捕縛。親衛隊に捕まる事も考え、中立な立場を維持する。集の事情を知る1人ではあるが、独裁を行う集の側には付けないという状況であった。
エクソダス時には平気で他人のヴォイドを取り出し使い捨てにする涯に恐怖し、アルゴの運転する車で逃亡。残存する葬儀社メンバーと合流し、一緒に来た谷尋達の面倒を見ている。
ヴォイドは「ハンドスキャナ」。スキャンした人物の精巧なダミー人形を作成し、それを遠隔操作することができる。仮にそのダミーが破壊されてもヴォイド自体に影響はない。
企画段階ではいのりを差し置き、最もラフ画が描かれたキャラクター。頭部に付いているネコ耳は無線+頭部センサーという設定だが、redjuiceによれば「通信機→ネコ耳」というひらめきで付けてみたとのこと。
四分儀(しぶんぎ)
声 - 子安武人27歳。「葬儀社」の参謀役。「さすがです」が口癖だが、それは皮肉や嫌味として用いることが多い。
5年前、戦場で自分を殺そうとした少年兵だった涯を見出したことから彼を見出し、以来、涯を王にするために傍で手腕を振るってきた。
第2次ロスト・クリスマスの後はアンチボディズに拘束され、嘘界と「チェスで勝利したら涯に逢わせる」という取引を交わす。嘘界がわざと勝負に負けた為に涯と面会するが、「醜悪な偶像」となった涯に失望する。そして彼から預かった玄周の日記を携えて集と合流し、アポカリプスウィルスの起源について伝える。
最終決戦の際、ツグミをハッキングで妨害し続けていた研二に「チェックメイト」を言い渡し彼を射殺した。
月島 アルゴ(つきしま アルゴ)
声 - 勝杏里17歳。竜泉高校の2年生。白兵戦に長ける少年でナイフと格闘のプロ。その実力はナイフでブーメラン型ヴォイドを弾き返すほどである。集の訓練ではいきなり刃物を手渡し、彼を卒倒させた。綾瀬との模擬戦で不利を悟った集にヴォイド「暗闇になるライト」を取り出されるが、黒い光で照らした相手を暗闇で包むという代物であったため、自身が根暗ではないかと気に病む一面を見せた。飲み物を飲む際に小指が立つ癖がある。
クーデターの後は、大雲と共にクホウイングループ会長のもとに逃れる。そして亞里沙救出の命を受け東京に侵入するが、豹変した集と再会し、彼のやり方に反発する。その際ヴォイドの真実を知る。ツグミと同じく、独裁者となった集には味方しないと態度を鮮明にし、不当な扱いを受けるが、葬儀社に居た頃の何かに必死に抗う集の姿を気に入っていたと告げるなど、集を元の集に戻そうと懸命であった。
ヴォイドを平気で使い捨てにする涯を目の当たりにした事で、葬儀社および綾瀬とツグミを連れて別行動をとり、生き残りのいた葬儀社のアジトに潜伏。
ユウが自分や葬儀社達の事を集の従者と呼んだ時には「従者じゃない。仲間だ!」と彼の前で宣言している。
大雲の死後は彼の形見となった重火器を使用し戦闘に参加している。
大雲(おおぐも)
声 - 高口公介寡黙な大男で、銃器や爆発物のプロ。アルゴと共に逃れたクホウイングループ側では同会長と共に待機し、護衛に回っていた。24区から逃亡してきた春夏を匿うが、嘘界の罠にはめられマシンガンで銃撃される。春夏と倉知を逃がす事に成功するものの、嘘界に刺殺される。
城戸 研二(きど けんじ)
声 - 岡本信彦葬儀社と集の協力によりGHQの第四隔離施設から救出された少年。スカイツリー爆破事件を起こした凶悪犯らしい。GHQトップシークレットデータをハッキングして捕まった経歴の持ち主であり、天才少年。
葬儀社全滅後は行方不明だったが、涯と共にダアトに所属していた。葬儀社や国連軍との戦いではユウや亜里沙と共に参戦する。電脳戦ではツグミの攻勢を防御、逆に圧倒しかけたが、正体を掴んでダアトの施設に乗り込んできた四分儀により射殺される。
ヴォイドは重力を操作する「重力銃」。ルーカサイト撃墜時にはいのりのヴォイドと合体し巨大な銃へと変貌した。涯とは旧知の仲であるらしく、葬儀社の作戦行動にもすぐに馴染む。現在の涯を「ぬるい」と評する。
キョウ
声 - 藤東知夏葬儀社メンバーの中でも非常に幼い。涯に声を褒められたことを誇りに思い、また涯を尊敬している。
増援部隊や支援の受け取りポイントにいたために、ルーカサイトの砲撃により瀕死の重傷を負う。涯に感謝の言葉を告げた後、涯によって安楽死(射殺)された。
倉知(くらち)
声 - 川庄美雪葬儀社のメンバー。春夏とは顔見知りで、行動を共にする。
ふゅーねる
冒頭、いのりが連れていた「オートインセクト」と呼ばれるロボット。感情表現が豊か。集の家のロックを解く、洗濯物をたたむなど、なかなか多芸。同時にそのアームはスタンガンも備えている。捕縛用ワイヤーを持つほか、電脳戦にも対応する。
最終決戦では追加装備を施し集用のセグウェイ型車両として使用された。エピローグでは妻や子供を模したと思しきピンクのカラーリング同型機や複数の小型機が登場した。
いのりが無口なキャラクターであり、かわいいマスコットを出したいという制作スタッフの話し合いから設定された。デザインはredjuiceが担当しており、『攻殻機動隊』に登場する「タチコマ」の存在は意識したとのこと。名前は英語表記で "funeral"、「葬儀」の意味である。
天王洲第一高校校条 祭(めんじょう はれ)
声 - 嶋村侑本作のヒロインの1人。現代映像研究同好会のメンバーの1人。16歳。集とは中学時代からの付き合いで、現在でもクラスメイト。集にとって気安く付き合える相手であるようだが、彼の当たり障りのない態度を窘めることもある。集に対して密かな好意を抱いており、集がGHQに逮捕されたと聞いた時は涙を流すほど心配していたが、無事に登校してきた彼を見てホッとしていた。集に授業での遅れを教えている際に、何らかの変化を感じ取った様子。谷尋と集の再会を機に2人の後を付いて行った事で、集の真実を知ってしまう。(合宿時では、いのりが集の家にやっかいになっている事を颯太から聞き、集の気を惹こうとかんばっていた。)すべてを失ったようにな顔をしている集を見て、声をかけたが、今の集は自分の知っている集ではないため、彼に迫られた後、一発平手をくらわしてしまう。その後に、集がヴォイドを使いGHQのエンドレイヴと戦っていた現場を目撃した事を集に話し、変わり果ててしまった彼に涙する。再起した集からヴォイドを取り出され、その力で損傷したふゅーねるをリペアした後、集や颯太達と共に葬儀社を助けるために、つぐみの案内で羽田に向かった。
第2次ロスト・クリスマスを経て、集が生徒会長に就任してからは、ヴォイドで物資再生や生徒の治療に尽力しつつ集を支えるが、ヴォイドランク制導入を怖れ独断でワクチンを取りに行った颯太たちを止めに行った際、颯太に連れられ逃亡用の車両をリペア中にダリルのエンドレイヴから放たれた砲撃による爆発を受け重傷を負った。祭を庇って同じく重傷を負った集をヴォイドで治療を終えた最中、武装ヘリからの銃撃を受けてヴォイドを破壊され、集がみんなを救える「優しい王様」になることを願いながら死亡した。しかし、皮肉にも彼女の死が集にヴォイドランク制の導入、残酷な王となる事を宣言させるきっかけとなった。
ヴォイドは「包帯」で、生物・無生物を問わず巻いたものを瞬時に再生する。集は「祭らしい優しいヴォイド」と評した。
荒木哲郎の「やさしい妹系キャラ」という注文からできたキャラクターで、redjuiceによれば胸のサイズは主要女性陣の中では一番大きく、体形も「ワガママボディ」を意識して描いているという。“祭”と書いて“はれ”と読ませる名前は大河内一楼(副シリーズ構成)によるアイディアだが、他のスタッフからは「普通は読めない」とのツッコミも入れられている。
魂館 颯太(たまだて そうた)
声 - 阪口大助現代映像研究同好会のメンバーの1人。17歳。集とはクラスメイトで「EGOIST」の大ファン。周りからは「空気が読めない」と言われているが、わざと読まないこともあるらしい。転入してきたいのりに向かって唐突に葬儀社の話題を出し、「EGOIST」の歌詞は葬儀社っぽいなどと指摘した。
集がGHQに逮捕された事を花音から聞いて驚いていたものの、彼が学校に姿を現すとGHQに逮捕されてからの事を興味津々に聞いてくる。合宿の時は、いのりに告白したが、その途中で集にヴォイドを取り出され、告白は阻止されてしまった。そして、集と気持ちをぶつけあった事で、親交が深まった。
第2次ロスト・クリスマスが起こった時、集の呼びかけに応え、そこで集がヴォイドと呼ばれる力を自在に使いこなし葬儀社の一員となってGHQと戦っていた事と、過去に自分もヴォイドを取り出されていた事と、いのりが葬儀社のメンバーである事を聞かされる。集の必死の思いに心を動かされ、一緒に葬儀社メンバーを助けるため、羽田に向かった。
第2次ロスト・クリスマスの後は集の下で校内で働くものの、ヴォイドの力が弱いために缶詰を開封する程度の貢献しかできなかったことから、ヴォイドランク制導入を恐れるあまりに他の生徒たちと共にワクチン収集のために勝手に行動してしまう。結果この行為が祭の死とランク制導入を決定づけてしまい、他の低ランクの生徒達と共にワクチン投与の代償に重労働に課せられることになった。結果、エクソダス実行までの間に症状がステージ3まで進行してしまい、右側頭部がキャンサーに侵食するに至った。その恐怖から裏切りに遭った集をクレーターに突き落とし「俺は悪くない」と決別してしまう。涯の復活後はアルゴ率いる葬儀社の残存メンバーと行動を共にし、戦線に復帰した集のヴォイドによりアポカリプスを取り除かれた。その後、一度は裏切った集とどう接すればいいか分からなくなり、最初は素気ない態度を取ってしまったが、集との握手によって心の霧が晴れ、葬儀社と共にいく集を一緒に避難してきた天王洲第一高校の生徒達と共に見送るのであった。
ヴォイドは「カメラ」で、固く閉ざされた扉などのあらゆるものを『開く』ことができる。また、集のヴォイドによっての使用の場合、『開く』だけでなく『空間消失』の様な強化能力が使用可能。これは「集の心を開きたい」という彼の望みに由来する。
寒川 谷尋(さむかわ やひろ)
声 - 水島大宙、花澤香菜(幼少期)
現代映像研究同好会のメンバーの1人。17歳。集とはクラスメイトで社交的な性格。
気の利く性格で、転入してきたいのりを質問攻めにするクラスメイトを制したり、葬儀社の活動に巻き込まれた集を気遣ったりと、非常に好青年。しかし裏では、ノーマジーンを売り捌く売人「シュガー」として振舞っており、表面上の彼は演技に過ぎない。その取引の際、集たち葬儀社がアンチボディズと交戦している所を目撃する。「シュガー」であることが集に知られた後、互いの事情を秘密にするという約束をするが、弟・潤の治療費のために集を裏切りGHQに通報する。
集が復学した際には、処分されそうになった弟を連れて身を隠していたが、移動中に集と再会。彼の協力で潤を葬儀社に保護してもらおうとしたが、GHQに発見され集と内輪もめになっていた時にヴォイドを取り出され気を失い、意識を取り戻した時に潤の死を集の口から聞かされる。その後は学校にも戻らず街を彷徨っていたが、バイオテロの際に集が発した呼びかけに応じ現れ、彼や祭達と共に羽田に向かった。
第2次ロスト・クリスマス後は学校に復帰し、集を生徒会長に推して自分は補佐に付き、ヴォイドランク制を提案する。
祭の死の一部始終を見たことで「ヴォイドの破壊=死」という事実を知るが、集が事実を知ればヴォイド使用を躊躇うことを予測して揉み消した。しかし真相を集に知られたことで信頼を失い、さらに亞里沙襲撃の犯人であるいのりの処遇について集と争った結果、決別することになる。その際、かつて彼をGHQに売り信用を失くしたことを悔やんでいた。
エクソダスの後は、颯太や花音と共にアルゴ率いる葬儀社の残存メンバーと行動を共にする。最終決戦の際は颯太と花音と共にヴォイドを集に預け、24区に取り残された一般人の避難誘導を行う。
彼のヴォイドは、命を絶ち切るための「鋏」。人間の命を絶つ時は、螺旋状の赤い糸を切るようなエフェクトが挿入される。使い勝手のいいヴォイドである為か、いのりを失った後の集はこれを剣のように使う。
草間 花音(くさま かのん)
声 - 寿美菜子集のクラスの学級委員長。17歳。谷尋とは昔よく遊んだ仲だという。集がGHQに逮捕される現場を目撃した1人で、その事実に驚いていた。そして集が復学後、谷尋が不登校となりかなり心配していた様子。
第2次ロスト・クリスマスの際に集から全ての事情を聞いた後、祭達と同じく協力者の1人となり、一緒に羽田に向かった。
ヴォイドランク制が導入されてからは、祭の死をきっかけに周りの人間がだんだん変わっていくことを悲しむようになる。
当初の脚本には無かったキャラクターであり、redjuiceが本作の打ち合わせ時に勝手に描いた「メガネの委員長キャラ」がそのまま採用され、本編に登場することとなった。胸のサイズは、主要女性陣の中で一番控えめとなっている。
ヴォイドはモノクルに似た「レーダー」で、遠くの物を見通す事ができる。集が会長になってからはその能力で屋上からの見張りを担当していた。
供奉院 亞里沙(くほういん ありさ)
声 - 遠藤綾本作のヒロインの1人。天王洲第一高校の生徒会長。17歳。クホウイングループの長を祖父に持つ。高潔かつ潔癖な性格で、学内の男子の憧れの的。GHQに連行され、学校で好奇の視線を向けられる集を庇う。将来的にグループを背負って立つ者として期待され、完璧であることを志しているが、その重圧を受け止めきれてはいない。
日本の自主独立を掲げたグループ主催の船上パーティに出席した際、潜入していた涯に出会い、ただならぬ想いを抱き始める。
第2次ロスト・クリスマスの際に集から全ての事情を聞いた後、祭達と同じく協力者の1人となり、一緒に羽田に向かった。
事件解決後、閉鎖地区となった学園の全責任を務める生徒会長として仲間達と共に全力を注ぐが、GHQが閉鎖区画を切り捨てる情報を知った後、不安になる全生徒を抑える事ができなくなり、難波や数藤から不信任決議を言い渡されてしまう。結果集に会長の座を譲ったが、祭の死により変わってしまった彼に反発したため、校舎の一室に軟禁される(ヴォイドがSランクと高位だったため)。その後アルゴの拘束を聞き見張りから逃げるが、「ヴォイドの破壊=死」という事実を目の当たりにし、それを他の生徒たちに知らせようとした途端にいのりに襲撃されてしまう。その時の恐怖から混乱に陥っていたところをコンタクトをとってきた涯につけ込まれ、秘密裏に他の生徒を懐柔し、エクソダス計画の発動後集に対するクーデターを図る。
その後はダアトの一員として行動するが、近くにいられると思った涯の傍にいることは許されず、自分を粛清しに来た祖父を自らの手で殺すことになってしまう。いのりの捕縛後、任務中に集に拉致され、彼を葬儀社の潜伏しているアジトに案内する。決戦時は涯に付くことを決め、彼にヴォイドを託す。
国連軍の襲撃を受け、託されたヴォイドで通路を塞ぎ続けるが、真名の歌でアポカリプスウィルスの感染が進行してしまい右脚が結晶化する。それでもなおヴォイドで守り続けるが涯の死と集の力でアポカリプスウィルスとヴォイドが消滅。乗り込んできた国連軍に撃たれたが、ダアトのメンバーに救出された。その後の消息は不明。
「オリジナルなアニメなのだから」という理由で、制作スタッフの様々なフェティッシュが盛り込まれたキャラクターとなっている。
ヴォイドは涯曰く「弱い自分を守る臆病者の盾」。手鞠大の球体を介して6枚の盾を展開する専守防衛の能力で、無数に飛来するミサイルを防ぎきった。
難波 大秀(なんば ひろひで)
声 - 阪口周平数藤とつるむ眼鏡の生徒。亞里沙への不満から彼女の不信任決議を提案した。
ヴォイドランク制導入後は親衛隊の中核メンバーになる。表面上は集に従い、亞里沙の監視役を務めていたが、彼女から肉体関係を対価にクーデターを持ちかけられ、他の生徒達にヴォイドの秘密を暴露し集に反逆するよう煽る。エクソダス成功後に集に銃を向けるが、現れた涯により爆撃機撃墜のためにヴォイドを利用され死亡。
数藤 隆臣(すどう たかおみ)
声 - 樋口智透難波とつるむ長髪の生徒。「葬儀社メンバーを差し出せば閉鎖地区から出られる」という嘘界が流した風評に踊らされ、生徒に紛れこんでいた綾瀬とツグミを捕まえて全校生徒の晒し者にするが、彼女たちを助けようとした集により風評が真っ赤なウソであることを明らかにされ立場を失う。
ヴォイドランク制導入後は親衛隊の中核メンバーになるが、難波同様集への忠誠心は薄く、エクソダスに乗じて彼を裏切る。しかし涯によりヴォイドを利用され死亡。
ヴォイドはアメリカンクラッカー。詳しい能力は不明であるがそれなりにランクの高いヴォイドであるようだ。
宝田 律(たからだ りつ)
声 - 津田美波親衛隊の一人。難波・数藤と共に集を裏切るが、涯にヴォイドを利用され死亡。
ヴォイドは刀身が電気を帯びた短剣。インセクトの制御装置がある東京タワーを倒すため集が使用した。
縁川 雅火(ふちかわ みやび)
声 - 渡辺明乃親衛隊の一員。集に心酔している。そのためエクソダス後に集の手を斬り落とした涯に斬りかかるが、涯に随伴していたエンドレイヴにヴォイドを破壊され死亡。
ヴォイドは巨大な鎌。
GHQダリル・ヤン声 - 嶋村侑本作のヒロインの1人。現代映像研究同好会のメンバーの1人。16歳。集とは中学時代からの付き合いで、現在でもクラスメイト。集にとって気安く付き合える相手であるようだが、彼の当たり障りのない態度を窘めることもある。集に対して密かな好意を抱いており、集がGHQに逮捕されたと聞いた時は涙を流すほど心配していたが、無事に登校してきた彼を見てホッとしていた。集に授業での遅れを教えている際に、何らかの変化を感じ取った様子。谷尋と集の再会を機に2人の後を付いて行った事で、集の真実を知ってしまう。(合宿時では、いのりが集の家にやっかいになっている事を颯太から聞き、集の気を惹こうとかんばっていた。)すべてを失ったようにな顔をしている集を見て、声をかけたが、今の集は自分の知っている集ではないため、彼に迫られた後、一発平手をくらわしてしまう。その後に、集がヴォイドを使いGHQのエンドレイヴと戦っていた現場を目撃した事を集に話し、変わり果ててしまった彼に涙する。再起した集からヴォイドを取り出され、その力で損傷したふゅーねるをリペアした後、集や颯太達と共に葬儀社を助けるために、つぐみの案内で羽田に向かった。
第2次ロスト・クリスマスを経て、集が生徒会長に就任してからは、ヴォイドで物資再生や生徒の治療に尽力しつつ集を支えるが、ヴォイドランク制導入を怖れ独断でワクチンを取りに行った颯太たちを止めに行った際、颯太に連れられ逃亡用の車両をリペア中にダリルのエンドレイヴから放たれた砲撃による爆発を受け重傷を負った。祭を庇って同じく重傷を負った集をヴォイドで治療を終えた最中、武装ヘリからの銃撃を受けてヴォイドを破壊され、集がみんなを救える「優しい王様」になることを願いながら死亡した。しかし、皮肉にも彼女の死が集にヴォイドランク制の導入、残酷な王となる事を宣言させるきっかけとなった。
ヴォイドは「包帯」で、生物・無生物を問わず巻いたものを瞬時に再生する。集は「祭らしい優しいヴォイド」と評した。
荒木哲郎の「やさしい妹系キャラ」という注文からできたキャラクターで、redjuiceによれば胸のサイズは主要女性陣の中では一番大きく、体形も「ワガママボディ」を意識して描いているという。“祭”と書いて“はれ”と読ませる名前は大河内一楼(副シリーズ構成)によるアイディアだが、他のスタッフからは「普通は読めない」とのツッコミも入れられている。
魂館 颯太(たまだて そうた)
声 - 阪口大助現代映像研究同好会のメンバーの1人。17歳。集とはクラスメイトで「EGOIST」の大ファン。周りからは「空気が読めない」と言われているが、わざと読まないこともあるらしい。転入してきたいのりに向かって唐突に葬儀社の話題を出し、「EGOIST」の歌詞は葬儀社っぽいなどと指摘した。
集がGHQに逮捕された事を花音から聞いて驚いていたものの、彼が学校に姿を現すとGHQに逮捕されてからの事を興味津々に聞いてくる。合宿の時は、いのりに告白したが、その途中で集にヴォイドを取り出され、告白は阻止されてしまった。そして、集と気持ちをぶつけあった事で、親交が深まった。
第2次ロスト・クリスマスが起こった時、集の呼びかけに応え、そこで集がヴォイドと呼ばれる力を自在に使いこなし葬儀社の一員となってGHQと戦っていた事と、過去に自分もヴォイドを取り出されていた事と、いのりが葬儀社のメンバーである事を聞かされる。集の必死の思いに心を動かされ、一緒に葬儀社メンバーを助けるため、羽田に向かった。
第2次ロスト・クリスマスの後は集の下で校内で働くものの、ヴォイドの力が弱いために缶詰を開封する程度の貢献しかできなかったことから、ヴォイドランク制導入を恐れるあまりに他の生徒たちと共にワクチン収集のために勝手に行動してしまう。結果この行為が祭の死とランク制導入を決定づけてしまい、他の低ランクの生徒達と共にワクチン投与の代償に重労働に課せられることになった。結果、エクソダス実行までの間に症状がステージ3まで進行してしまい、右側頭部がキャンサーに侵食するに至った。その恐怖から裏切りに遭った集をクレーターに突き落とし「俺は悪くない」と決別してしまう。涯の復活後はアルゴ率いる葬儀社の残存メンバーと行動を共にし、戦線に復帰した集のヴォイドによりアポカリプスを取り除かれた。その後、一度は裏切った集とどう接すればいいか分からなくなり、最初は素気ない態度を取ってしまったが、集との握手によって心の霧が晴れ、葬儀社と共にいく集を一緒に避難してきた天王洲第一高校の生徒達と共に見送るのであった。
ヴォイドは「カメラ」で、固く閉ざされた扉などのあらゆるものを『開く』ことができる。また、集のヴォイドによっての使用の場合、『開く』だけでなく『空間消失』の様な強化能力が使用可能。これは「集の心を開きたい」という彼の望みに由来する。
寒川 谷尋(さむかわ やひろ)
声 - 水島大宙、花澤香菜(幼少期)
現代映像研究同好会のメンバーの1人。17歳。集とはクラスメイトで社交的な性格。
気の利く性格で、転入してきたいのりを質問攻めにするクラスメイトを制したり、葬儀社の活動に巻き込まれた集を気遣ったりと、非常に好青年。しかし裏では、ノーマジーンを売り捌く売人「シュガー」として振舞っており、表面上の彼は演技に過ぎない。その取引の際、集たち葬儀社がアンチボディズと交戦している所を目撃する。「シュガー」であることが集に知られた後、互いの事情を秘密にするという約束をするが、弟・潤の治療費のために集を裏切りGHQに通報する。
集が復学した際には、処分されそうになった弟を連れて身を隠していたが、移動中に集と再会。彼の協力で潤を葬儀社に保護してもらおうとしたが、GHQに発見され集と内輪もめになっていた時にヴォイドを取り出され気を失い、意識を取り戻した時に潤の死を集の口から聞かされる。その後は学校にも戻らず街を彷徨っていたが、バイオテロの際に集が発した呼びかけに応じ現れ、彼や祭達と共に羽田に向かった。
第2次ロスト・クリスマス後は学校に復帰し、集を生徒会長に推して自分は補佐に付き、ヴォイドランク制を提案する。
祭の死の一部始終を見たことで「ヴォイドの破壊=死」という事実を知るが、集が事実を知ればヴォイド使用を躊躇うことを予測して揉み消した。しかし真相を集に知られたことで信頼を失い、さらに亞里沙襲撃の犯人であるいのりの処遇について集と争った結果、決別することになる。その際、かつて彼をGHQに売り信用を失くしたことを悔やんでいた。
エクソダスの後は、颯太や花音と共にアルゴ率いる葬儀社の残存メンバーと行動を共にする。最終決戦の際は颯太と花音と共にヴォイドを集に預け、24区に取り残された一般人の避難誘導を行う。
彼のヴォイドは、命を絶ち切るための「鋏」。人間の命を絶つ時は、螺旋状の赤い糸を切るようなエフェクトが挿入される。使い勝手のいいヴォイドである為か、いのりを失った後の集はこれを剣のように使う。
草間 花音(くさま かのん)
声 - 寿美菜子集のクラスの学級委員長。17歳。谷尋とは昔よく遊んだ仲だという。集がGHQに逮捕される現場を目撃した1人で、その事実に驚いていた。そして集が復学後、谷尋が不登校となりかなり心配していた様子。
第2次ロスト・クリスマスの際に集から全ての事情を聞いた後、祭達と同じく協力者の1人となり、一緒に羽田に向かった。
ヴォイドランク制が導入されてからは、祭の死をきっかけに周りの人間がだんだん変わっていくことを悲しむようになる。
当初の脚本には無かったキャラクターであり、redjuiceが本作の打ち合わせ時に勝手に描いた「メガネの委員長キャラ」がそのまま採用され、本編に登場することとなった。胸のサイズは、主要女性陣の中で一番控えめとなっている。
ヴォイドはモノクルに似た「レーダー」で、遠くの物を見通す事ができる。集が会長になってからはその能力で屋上からの見張りを担当していた。
供奉院 亞里沙(くほういん ありさ)
声 - 遠藤綾本作のヒロインの1人。天王洲第一高校の生徒会長。17歳。クホウイングループの長を祖父に持つ。高潔かつ潔癖な性格で、学内の男子の憧れの的。GHQに連行され、学校で好奇の視線を向けられる集を庇う。将来的にグループを背負って立つ者として期待され、完璧であることを志しているが、その重圧を受け止めきれてはいない。
日本の自主独立を掲げたグループ主催の船上パーティに出席した際、潜入していた涯に出会い、ただならぬ想いを抱き始める。
第2次ロスト・クリスマスの際に集から全ての事情を聞いた後、祭達と同じく協力者の1人となり、一緒に羽田に向かった。
事件解決後、閉鎖地区となった学園の全責任を務める生徒会長として仲間達と共に全力を注ぐが、GHQが閉鎖区画を切り捨てる情報を知った後、不安になる全生徒を抑える事ができなくなり、難波や数藤から不信任決議を言い渡されてしまう。結果集に会長の座を譲ったが、祭の死により変わってしまった彼に反発したため、校舎の一室に軟禁される(ヴォイドがSランクと高位だったため)。その後アルゴの拘束を聞き見張りから逃げるが、「ヴォイドの破壊=死」という事実を目の当たりにし、それを他の生徒たちに知らせようとした途端にいのりに襲撃されてしまう。その時の恐怖から混乱に陥っていたところをコンタクトをとってきた涯につけ込まれ、秘密裏に他の生徒を懐柔し、エクソダス計画の発動後集に対するクーデターを図る。
その後はダアトの一員として行動するが、近くにいられると思った涯の傍にいることは許されず、自分を粛清しに来た祖父を自らの手で殺すことになってしまう。いのりの捕縛後、任務中に集に拉致され、彼を葬儀社の潜伏しているアジトに案内する。決戦時は涯に付くことを決め、彼にヴォイドを託す。
国連軍の襲撃を受け、託されたヴォイドで通路を塞ぎ続けるが、真名の歌でアポカリプスウィルスの感染が進行してしまい右脚が結晶化する。それでもなおヴォイドで守り続けるが涯の死と集の力でアポカリプスウィルスとヴォイドが消滅。乗り込んできた国連軍に撃たれたが、ダアトのメンバーに救出された。その後の消息は不明。
「オリジナルなアニメなのだから」という理由で、制作スタッフの様々なフェティッシュが盛り込まれたキャラクターとなっている。
ヴォイドは涯曰く「弱い自分を守る臆病者の盾」。手鞠大の球体を介して6枚の盾を展開する専守防衛の能力で、無数に飛来するミサイルを防ぎきった。
難波 大秀(なんば ひろひで)
声 - 阪口周平数藤とつるむ眼鏡の生徒。亞里沙への不満から彼女の不信任決議を提案した。
ヴォイドランク制導入後は親衛隊の中核メンバーになる。表面上は集に従い、亞里沙の監視役を務めていたが、彼女から肉体関係を対価にクーデターを持ちかけられ、他の生徒達にヴォイドの秘密を暴露し集に反逆するよう煽る。エクソダス成功後に集に銃を向けるが、現れた涯により爆撃機撃墜のためにヴォイドを利用され死亡。
数藤 隆臣(すどう たかおみ)
声 - 樋口智透難波とつるむ長髪の生徒。「葬儀社メンバーを差し出せば閉鎖地区から出られる」という嘘界が流した風評に踊らされ、生徒に紛れこんでいた綾瀬とツグミを捕まえて全校生徒の晒し者にするが、彼女たちを助けようとした集により風評が真っ赤なウソであることを明らかにされ立場を失う。
ヴォイドランク制導入後は親衛隊の中核メンバーになるが、難波同様集への忠誠心は薄く、エクソダスに乗じて彼を裏切る。しかし涯によりヴォイドを利用され死亡。
ヴォイドはアメリカンクラッカー。詳しい能力は不明であるがそれなりにランクの高いヴォイドであるようだ。
宝田 律(たからだ りつ)
声 - 津田美波親衛隊の一人。難波・数藤と共に集を裏切るが、涯にヴォイドを利用され死亡。
ヴォイドは刀身が電気を帯びた短剣。インセクトの制御装置がある東京タワーを倒すため集が使用した。
縁川 雅火(ふちかわ みやび)
声 - 渡辺明乃親衛隊の一員。集に心酔している。そのためエクソダス後に集の手を斬り落とした涯に斬りかかるが、涯に随伴していたエンドレイヴにヴォイドを破壊され死亡。
ヴォイドは巨大な鎌。
声 - 内山昂輝GHQのエンドレイヴパイロット。17歳。階級は少尉で、司令官ヤン少将の息子。
物質的には恵まれながらも人並みの愛情とは無縁な環境で育ち、極度の心理外傷を抱え込んだ結果、他人や集団を顧みない自分勝手な人格が形成された。人との肉体的接触を嫌悪し、たとえ相手が上官であっても面罵し民間人の女子供を平然と殺害するなど、人格は破綻しており「皆殺しのダリル」の二つ名で呼ばれる。
将校という立場であるにも関わらず、指揮系統を無視し無断出撃を行い、綾瀬のエンドレイヴと戦闘に突入するなど組織という物を第一に考えていない。このような性格からか、戦闘中においても涯への敵愾心という私情でルーカサイトのコアを省みる事無く施設内で発砲、東京壊滅の危機を招いている。
ただし、戦闘要員としては優秀らしくエンドレイヴの操縦の腕は確かなものであり、量産機〈ゴーチェ〉で綾瀬の新型機〈シュタイナー〉と互角に渡りあった。
誕生日は8月23日。ゴーチェの機体ナンバーも823であるが、そこにこめられた真意を汲もうとしない父への絶望と憎悪を嘘界に利用され、茎道のクーデターに協力してしまう。その際に父を自らの手で殺害したためか、以後心境に変化が表れ始める。
閉鎖区画の東京浄化作戦に使用されたゴースト部隊の一方的虐殺行為に不満を抱いていて、殺し方に愛がないと言う。ツグミを「ちんちくりん」と呼ぶなど、学園祭の時に自分におせっかいを焼いたツグミに何か思う所があるようで、ツグミのヴォイドによって作られた集・綾瀬・ツグミのダミーがゴースト部隊に銃撃される光景を目にした時には動揺を見せた。
アンチボディズ側で涯が現れた際には、自分の手で実の父親を殺めてしまった事を思い出し彼に反撥。文句を口にしながらツグミを助けるのであったが、命令違反をした事で牢獄に放り込まれる。
葬儀社に対する敵対心が強く、幾度となく葬儀社に戦いを挑むも敗北している。最終決戦では、葬儀社との決着を付ける為に自ら「ヴォイドゲノムエミュレーター」の実験体になる事を志願し、大型エンドレイヴ〈ゲシュペンスト〉に搭乗。綾瀬たちの前に立ちはだかる。涯が敗れた事でエミュレーターが作動しなくなり、綾瀬に敗れる。それでもなお「お前らをやれば僕は皆殺しのダリルでいられる」と宣言するがツグミによって否定された。敗北後にアンドレイによって命を救われ、エレベーターで逃亡する。
ヴォイドは「万華鏡」。ビームや銃弾を弾き返すバリアフィールドの様なものを形成する。〈ゲシュペンスト〉搭乗時には「ヴォイドゲノムエミュレーター」の効果によりそのヴォイド能力を使用している。
使用機体はシュタイナー→ゴーチェ→ゲシュペンスト。
茎道 修一郎(けいどう しゅういちろう)
声 - 井上和彦特殊ウィルス災害対策局長で、アンチボディズの指揮官。玄周とは旧知の仲。春夏の実の兄。性格は一見冷徹ながら、その心底に狂熱的なものを秘めている。
玄周のIDカードを所持しており、それを利用して大島の施設から「はじまりの石」を持ち出す。その直後、GHQへ出頭し拘束されるが、実は「はじまりの石」がヤンの手に渡る事も計画の内であった。嘘界に「はじまりの石」を発動させ、アポカリプスウィルスのパンデミックを引き起こした後、アンチボディズによって拘束から解放されクーデターを起こす。ユウを使っていのりを捕らえ、真名を蘇らせることでアポカリプスを実行に移すも失敗した。
第二次ロスト・クリスマス以降は日本の臨時政府大統領に就任し、天王洲一高校をはじめとする第七管区を10年閉鎖することを決定した後、そこの浄化を名目とした大量虐殺を開始する。最終決戦では戦いの行く末を監視していたが、乗り込んできた春夏と対峙し、「戦いに勝ったのは俺でも玄周でも無い」と言い残し、アポカリプスウィルスを自分自身に打ち込んで自殺する。
ヤン
声 - 土師孝也GHQの司令官。階級は少将。ダリルの父親だが、ダリルが実の息子なのかという事に疑いを持っており、息子として見ていない。
茎道が起こしたクーデターにおいて、愛人諸共ダリルに殺害される。
グエン
声 - 志村知幸階級は少佐。いのりを捕縛する際に蹴りつけたり、避難勧告に乗じて人質を取り葬儀社を誘き出そうとするなど、過激な性質の持ち主。「脂身」などダリルの傍若無人な言動の数々に憤激していた。奪われた「ヴォイドゲノム」の奪還のため六本木フォートを襲撃。部隊を率いて葬儀社と対峙するも、涯の策略によりビームの乱反射に巻き込まれ死亡。
嘘界=ヴァルツ・誠(せがい=ヴァルツ・まこと)
声 - 神奈延年階級は少佐。左目が義眼の男で、ノーマジーンの流通ルートを一週間で解明してしまう切れ者。しかしその実態は、自らの興味や悦楽のためなら何がどうなっても全く意に介そうとしない狂人。通称は「ハングマン」。ナイフの扱いにも優れた一面も持つ。
クロスワードを楽しんだり、「処世術だ」と言ってダンのテンションをまねたりなどコミカルな一面も見られる。
〈王の能力〉に興味を持っているらしく、力の発動を見るためだけに敵味方の犠牲を問わない様々な策を巡らせていた。また、そのために茎道にも与し、第2次ロスト・クリスマスの際には上官であるダンを侮蔑の言葉と共に射殺した。
第2次ロスト・クリスマス以降は特殊ウィルス災害対策局長に就任する。閉鎖地区の完全封鎖を言い渡された際「葬儀社のメンバーを差し出せば外に出られる」というデマメールを地区内に流して楽しんでいた。蘇った涯が得た〈王の能力〉を見るが「何か違う」と惹かれず、春夏が持ち去った最後のヴォイドゲノムを狙って追撃を図る。葬儀社と共に廃墟に籠城する彼女を追い詰めるが、再び〈王の能力〉を得た集に谷尋の「鋏」で死亡。その際には「他人の心が私の中に入ってくる」と恍惚の表情を浮かべていた。
桜満 春夏(おうま はるか)
声 - 藤村知可集の義母。GHQ所属のヴォイドゲノムを培養するセフィラゲノミクス主任研究員。週に一度程度しか帰宅しない。集からは「春夏」と名前で呼ばれている。自宅に入るなり服を脱ぎ捨て、下着姿でうろつくラフな性格で、桜満家に居候しているいのりと出くわしてもまるで動じなかった。
茎道の妹であり、飛び級で大学に入学するほどの才女で、それゆえに研究に明け暮れる玄周に興味を抱き、彼と結婚するに至った。そして2029年、彼の実子である真名と集と共に過ごそうとしたクリスマスに玄周を喪い、そしてロスト・クリスマスを経験する。真名と集に起こったことを知る数少ない人物で、以来「集を守る」ことを自身に課している。
第2次ロスト・クリスマス発生前に、茎道から集がヴォイドゲノムを継承していた事と、“葬儀社”の一員となっていた事を知らされる。ダンの協力で嘘界の監視から逃れる事ができ、逃げている途中にいのりと涯に出会い、アポカリプスウィルス拡大を防ぐために葬儀社に協力する。
第2次ロスト・クリスマス以降は、王の宿命から集を解放するために24区に与し、涯の復活に関わる。その後真名の殺害に踏み切るが、策は全て茎道に見抜かれており、やむなく最後のヴォイドゲノムを持って逃亡。葬儀社残存メンバーに合流し、再度力を手にした集や葬儀社の面々と共に決戦に臨んだ。
ダン・イーグルマン
声 - 最上嗣生供奉院家の船外パーティーを行っている船にドラグーンミサイルで襲撃しようとしたGHQから派遣された軍人。階級は大佐。「ガッツで行こう」等の言動からスポーツマンに則った精神を持っているようであり、ワイルドな行動を好む。女性に暴力は振るわず、部下にも親交を深めようというコミュニケーションをとっており、性格的には悪人ではない模様。しかし地対空ミサイルであるドラグーンを「上に飛ぶなら横にも飛ぶ」と強引に車両ごと寝かせて射出するなど非常識な面も多々見られる。
クーデターの際、ウィルスにより身体の一部が結晶化し、さらにダリルの裏切りによる襲撃を受ける。その後、春夏をかばうように逃がし、嘘界を組み伏せるものの逆に射殺される。
アンドレイ・ローワン
声 - 野坂尚也メガネをかけた青年で階級は大尉。グエンの死後は嘘界の補佐やダリルのオペレーターなどを行う。実質的には嘘界に近い人物らしく、GHQを裏切り、茎道のクーデターに協力した。
日頃の言動から見るとごく普通の良識人らしく、嘘界や茎道の行う大量虐殺作戦に抑えきれない嫌悪を感じている模様。
ダリルの反逆時には庇うなど彼を気遣う様子も見られ、GHQの追っ手に追跡された際には彼をエレベーターに押し込み逃がしている。その際は「生き直せるなら今度はもっと人に優しくしろ、本当はもっといい子だったんだろ、ダリル坊やは」と言葉を掛けるなど、本心から彼の事を思っていた。
その他
- 王の能力
- セフィラゲノミクスが3つだけ製造に成功した、強化ゲノムによって付与される能力。ヒトゲノムのイントロンコードを解析し、内に秘めた力をヴォイドの形で取り出せる、神の領域を暴くヴォイドテクノロジーの頂点。
- ヴォイド
- 人の体内にある物質。「形相を獲得したイデア」であると涯は述べている。イデアとは倫理学において「理想」を意味するギリシア語であり、後述の“個々の恐怖やコンプレックスの反映”がなされるヴォイドの特徴と関連していると思われる。
- ヴォイドゲノム
- 桜満玄周がアポカリプスウィルスを解析して見つけ出した遺伝子コードの名称。対象となる人物の遺伝子情報を読み取り、それをヴォイドとして具現化する〈王の能力〉を手に入れる。投与された者は体に王の刻印が現れる。なお現段階で、ヴォイドテクノロジーの頂点である「ヴォイドゲノム」は3個しか生産に成功していない。現段階では集と涯とユウが〈王の能力〉を得た人物に該当する。
- ヴォイドを取り出す際には対象の人物と視線を合わせる(「見られている」と思わせる)必要がある。17歳以下からしか取り出せず、人によって出現するヴォイドは多様(個々の恐怖やコンプレックスなどが反映されているらしい)。加えてヴォイドを取り出された人物は気を失い、その前後の記憶を無くすため、自身のヴォイドを見ることはない。しかし、物語の進行と共に能力が次の段階に移行し、ヴォイドを取り出された本人も意識を保ち、取り出したヴォイドゲノム保有者ほどではないが自らのヴォイドを使えるようになる。それぞれのヴォイドの強弱は特殊な検知器によって数値化され目に見えるようになる。
- しかし、ヴォイドを破壊された場合、その持ち主は肉体がキャンサー化して死亡する。
- アポカリプスウィルス
- 2029年の東京で突如発生した謎のウィルス。発症すると身体がキャンサーと呼ばれる紫色の結晶体に変異していき、全身が変異すると砕け散って死亡する。第一感染者であり「イヴ」である真名の歌を感染者が聴いた場合は、症状が一気に進行する。
- 感染者は凶暴化されると噂されるが、GHQによって厳重な情報管理が敷かれているため、公にはその詳細が知られていない。
- このウィルスの蔓延が原因となり、当時の日本の政治中枢は大混乱に陥り、結果的には国連から派遣されたGHQの統治下へ入ることとなった。
- GHQの情報統制により一般人は詳細を知らず、重度の発症者は隔離施設に収容され各ステージに分類され治療を受けている。
- 現在では日本人の全員が感染していると見られており、月に一度のワクチン摂取が義務づけられているが、放棄された六本木地区は対象外であり、住民はワクチンの投与も受けないまま地区ごと隔離されている。
- アポカリプスウィルスに感染すると稀にヴォイドを視ることができる能力を手に入れることが、潤の話で明らかになる。
- ロスト・クリスマス事件
- 2029年12月24日に起こった六本木でのアポカリプスウィルスの感染爆発と、それに伴う騒乱。天王洲にあるセフィラゲノミクス社と、六本木ヘリ墜落事件の追悼式典会場が爆破され、百数十名が死亡した。犠牲者の中には、最期の日本政府の全閣僚、副大臣、東京都知事及び副都知事、財界の大物などが含まれる。この事件によって日本は政府機能を失い、多国籍軍による治安維持部隊が投入され、後に発足したGHQによる日本暫定統治が始まるきっかけとなった。
- 六本木ヘリ墜落事件
- 小説版より。2029年11月1日に起きた、六本木の、成功者の象徴とされた高層ビル群に所属不明の1機のヘリが墜落した事件。死者は約20名。犠牲者の多くは財政界に影響力を持つ富豪であった為、12月24日の追悼式典には総理を始めとする閣僚全員が出席。同式典会場はロスト・クリスマスで爆破された。
- 葬儀社
- GHQの統治から日本の開放を目指すレジスタンス組織。拠点は六本木フォートでメンバーのほとんどが若者。今までは組織の存在を隠してきたが六本木フォート侵攻(第2話)を受け、組織の存在をテレビなどで公表した。リーダーである恙神涯のもと、アンチボディズと対抗するための装備と組織力がある。組織名の由来は「自分達は常に淘汰される弱者を〈送る〉側である」ことから。海外にも支援者がいるらしく、日本国内でもクホウイングループの協力を取りつける。
- 第二次ロスト・クリスマス事件では敵の罠にはまりリーダーの恙神涯を失った上、数多くの幹部も行方知れずとなり、壊滅的打撃を受けてしまう。
- GHQ
- アポカリプスウィルスが日本中に蔓延した際、アメリカ軍を中心に超国家間で発足した超国家的組織。政府機能を失った日本に対し武力介入を行い、軍事占領下に置いている。ワクチンの開発に成功しており、日本国民へのワクチン投与を名目に現在も日本に駐留し続け、日本人を経済的にも隷属させている。本拠地は24区。広義では総司令部〈General Headquarters〉の略語。
- アンチボディズ
- GHQに所属する特殊防疫部隊。正式名称は特殊ウィルス災害対策局で、茎道修一郎が局長を務める。感染者を独自で認定・隔離できる権限を持っており、その場で殺処分することもある。フォートに住む住民にとっては恐怖の対象であり、その出で立ちから「白服」と呼ばれている。
- OAU
- アフリカ連合が改組して生まれた、アフリカ国家連合機構。生まれた理由はロスト・クリスマス事件後、国連加盟国の分担金は大幅に増加しており、ロスト・クリスマス後のGHQ日本統治に伴う費用がその背景にある。第5話で茎道と嘘界が交わしていた会話にある「リーブ・ネイションズ」は国連脱退国という意味である。日本を占領した事でその地位を高めた欧米勢力中心の意志決定と資金負担の増加を嫌う途上国は次々と国連を脱退していき、特にアフリカ諸国に数が多い。葬儀社の涯は反国連・反GHQの支援を求めて、国際政治の新勢力となっているOAUに対し接触を図っていた。
- クホウイングループ
- 供奉院家によって興された日本の国際企業グループ。第7話に登場した供奉院翁は、供奉院家当主のほかにグループ会長としてトップダウン型の経営を行なっている。GHQの統治以後、「日本国民による自主自立」を目指していた供奉院翁は、GHQによる収奪にも反発して政官界のネットワークを使い様々な策謀を巡らせている。亞里沙はその孫で当主の跡継ぎという立場であるが本人は承諾してはいるものの、内心では微妙に嫌がっている。
- 後のロスト・クリスマス事件以後は葬儀社が壊滅した上に、茎道らの不穏な動きによって孫娘を含む多くの日本人が抹殺されようとしている事態に苦慮している。
- 24区
- かつてお台場があった場所。日本にとってはロスト・クリスマスに端を発する騒乱の象徴。GHQやアンチボディズの本拠地であり、暫定統治のために建設された巨大建造物には行政や軍事、ウィルス研究などの施設が集約されている。
- セフィラゲノミクス
- アポカリプスウィルスの基礎研究やワクチン製造などを行う製薬企業。GHQやアンチボディズと関係があり、そのため研究所も24区にある。3本のヴォイドゲノム製造に成功していた。集の母・春夏はこの企業の主任研究員でもある。
- エンドレイヴ
- GHQの所有する人型ロボット。正式名称は "Endoskeleton remote slave armor" =「内骨格型遠隔操縦式装甲車両」で、その通称がエンドレイヴである。内骨格にいくつかのモーターや電動アクチュエータ、バッテリーをマウントし、走行機能を持ったアームロボットのような設計思想となっている。技術の発展によって多モーター化と軽量化が図られているため、開発世代が新しくなるごとに小型化・人型化が進展している。多くの機体は手持ちの銃器を使用する。
- アポカリプスウィルス研究の副産物として生まれた「ゲノムレゾナンス伝送技術」によって、オペレータはほぼタイムラグ無しでエンドレイヴに意志を伝えることが可能。しかし、機体に大きな障害があった場合、逆流信号が発生しオペレータにダメージを及ぼすという問題点もある。危険時には「ベイルアウト」なる、非操縦者による強制手段により通信を遮断する。
- ジュモウ
- GHQの最旧型エンドレイヴ。人型からは程遠い機体形状で、丸みを帯びたフォルムが年代を感じさせるデザインになっている。背部にある角のようなミサイルランチャーが特徴的な他、胸部に機関砲を持つ。機体色はアイボリー。
- 葬儀社側で綾瀬などが運用していることから、鹵穫した機体を使用しているものとみられる。2話で綾瀬の機体は破壊され、GHQから奪取したシュタイナーに出番を譲る。最終決戦でも葬儀社側で数機の運用が見られた。
- ゴーチェ
- GHQの量産型エンドレイヴ。旧式機のジュモウと比較すると小型である。移動時には脚を折りたたみ、戦車の様な形態をとる。装備としてレールガン、パイルバンカー、ミサイルなどが搭載できる。エメラルドグリーンの機体色の一般機と、黒基調の機体色のゴースト部隊仕様の機体が存在する。
- シュタイナー
- GHQの新型エンドレイヴ。ダリルが運用していたが、後に葬儀社に奪取され綾瀬が使用する。機体色は白。第2次ロスト・クリスマスにて破壊される。
- 頭部センサーの発光パターンがダリル操縦時には青、綾瀬操縦時には赤と異なっている。
- 後期OP映像には出ているものの、後期の本編には出演せず、そのまま後継機のシュタイナーA9に出番を譲った。
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- シュタイナーA9(アーノイン)
- 最終決戦にて綾瀬が使用した機体。葬儀社側でシュタイナーをチューンナップした機体と思われる。各部から突き出たパーツにより、原型機と言えるシュタイナーよりも棘々しいフォルムとなっている。出力強化が図られたのか、スラスターによる飛翔が可能。両腰からはビット兵器を射出し使用している。
- OP映像では一貫して通常のシュタイナーが描かれており、A9は登場しない。
- ゲシュペンスト
- 最終決戦にてダリルが使用した大型エンドレイヴ。通常のエンドレイヴよりもかなり巨大な体躯を持ち、有線式ロケットアームなどの特殊な兵装も有する。
- 遠隔共鳴システムを使用せず、試作段階の「ヴォイドゲノムエミュレーター」により操縦。その能力かダリルの「万華鏡」と思しき物理障壁を発生させ、アルゴの銃撃を弾き返している。
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- スワップ
- エンドレイヴの運用はその性質上、複座制御はできず、すべて単座であり一人のオペレータによって接続・制御が行われている。神経接続を行なうオペレータの精神負担は大きいため、その作戦時間には限界がある。そのため稼働中のオペレータや機体を入れ替える「スワップ」という運用が可能となっている。本来は長時間の作戦行動においてバックアップオペレータと交代するための手段だが、第6話でダリルはルーカサイト制御室に予め配置されていた機体にスワップして、葬儀社を迎え撃った。
- ルーカサイト
- 非対称8の字の準天頂軌道を周回している、3機の対地攻撃衛星で構成される衛星コンステレーション。その威力はたった3パーセントで周囲1キロメートル以上を壊滅させるほどの物。コンステレーション完成時には3機のうち1機が日本上空にある状態となり、地形や建造物に遮蔽されることなく日本全土を標的にできる。GHQによる統治が始まって以来、日本からの出国は防疫対象として厳しく制限している。空海路の完全封鎖によるルーカサイト計画は、アンチボディズ主導で実施されたプロジェクト。葬儀社によるルーカサイト攻略戦時に2機が撃ち落とされている。
- ノーマジーン
- 本来はアポカリプスウィルスのワクチン研究の中で偶然に発見された薬物。その製法がなんらかのルートで流出し、日本国内で密造・密売が広がっているジーンドラッグ。常習性の一方で既存の禁止薬物に比べ肉体的・精神的ダメージが軽微なため、若者達の間ではカジュアルドラッグとして流行している。六本木フォートは非合法な取引の場として利用されており、谷尋は密売のために出入りを繰り返して資金を貯めていた。
- ダアト
- 復活した涯が率いる秘密結社。フリーメイソンやシオン修道会よりも古くから存在し、その存在は伝説だと思われていた。そのシンパは世界中のあらゆる組織に浸透している。24区を拠点に構え、全国ネットで世界に宣戦布告をする。
- ユウによると、その実態は人類の意思を決定する機関であると語られている。